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ふっかつ

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 比那名居天子プチ合同誌『てんこあいしてる。』の原稿がようやく終わりました。途中で完成原稿を破棄してネームから描き直したため、6ページに2週間近く費やすことに。もっとペースをあげたいけどクオリティとどこまで妥協できるかが今後の課題です。
 それにしても描き直したというかまるで絵が別物なんですが・・・、どうしてこうなった!どうしてこうなった!


 以下、漫画とか音楽の話



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 原子真一さんにオススメされて、『それでも町は廻っている』の石黒正数さんの短編集を買ってみました。
 石黒さんらしいギャグやシリアスを織り交ぜた話が沢山つまっていて面白かったのですが、その中の一つ『ネムルバカ』を読んでいて興味深い箇所があったのでちょっと紹介。大学の女子寮で同室に住む女の子二人の話で、パンクバンドとして活動していている先輩ルカにもう一人の平凡な子柚美が、あるしったかサブカルナルシスト男に誘われて自称アーティストたちが作品展示をしているレストランに行った時の話をする場面

ルカ「あー駄サイクルだねー」
柚美「ダサイクル?なんすかそれ?」
ルカ「私の造語。ぐるぐる廻り続けるだけで
    一歩も前進しないダメなサイクルのこと。
    輪の中で需要と供給が成立しちゃってるんだよ。
    自称ア~チストが何人か集まってそいつら同士で
    見る→ホメる→作る→ホメられる→見る→…
    を繰り返しているんだ。
    それはそれで自己顕示欲を満たすための
    完成された空間なんだよ。」
柚美「はぁ~~なるほど――」
ルカ「で自称ア~チストってのは常々やってて
    楽しいと思える程度の練習はするが
    本当に身になる苦しい修行は
    ツラいからせず…
    一方的に発表できる個展はするが
    正式に裁きを受けるコンペやコンクールは
    身の程を知るのが怖いから出ず…
    馴れ合いの中で自分が才能のある
    ア~チストだと錯覚していく…
    駄サイクルの輪は自称ア~チストに限らず
    色んな形でどこにもある…
    たぶんここにも――…
    輪の中にいると気づかないんだ」

 おお耳がイタイイタイ。

 しかしこのルカ先輩の金言は、色恋沙汰に目も暮れずメジャーになることを目標にバンド活動にいそしむことができる彼女の目線からのものなんですよね。彼女のように目標がブレない「スゴイ人」でない多くの「フツウの人」からすれば、報われるかもわからずやみくもに努力するよりも気があう仲間同士で楽しむほうが魅力的じゃないですか。駄サイクルは外から見ればくだらない集まりのように見えますけど、参加している人にとってはそんなこと知ったこっちゃないわけで。後半の話でルカ先輩がだらしない後輩たちに「目的もなく生きているお前らは一体何なんだ」と言ったのに対して「先輩からすれば俺らみたいのはイミわかんないのかもしれないけど、俺から見たら音楽で食っていこうとしている先輩のほうが宇宙人みたいに見えますよ」「この歳になって目標がブレてない先輩が運がいいんですよ」と返すこのギャップがまさにそんな感じです。

 で、同人活動もいってしまえばこの駄サイクルによって成り立っているわけですが、しかしそれは決して輪のぬるま湯につかることが目的ではなく、輪「だからこそ」楽しめるものを追求するために皆さん活動しているんだと思います。同人でもプロ以上の技術や向上心をもって取り組んでいる人もいますし、同人にしかない魅力に惹かるからこそなりたつ創作活動なわけで。しかし一方で、練習もそこそこに向上心も無く、輪にあぐらをかく人や自称ア~チストな人もいるかもしれません。
 なんにせよ、怠惰や挫折、諦めを理由としたネガティブな同人活動をしないよう心がけたいです。自分が楽しいから、一緒に楽しみたい仲間がいるから、そのためだけに練習や勉強にはげんで同人活動ができればいいなぁ。



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 以前ヒュー・ホッパーの『1984』を取り上げましたが、このジョージ・オーウェルのディストピア小説をモチーフにした音楽作品は他にもいろいろあるので集めています。イギリスの小説というだけあってなかなかプログレな作品が多いわけで、元ジェネシスのアンソニー・フィリップスやイエスのリック・ウェイクマンなど。作風は絶望的なものからミニマム、ポップなものまで解釈がいろいろわかれてて面白いです。それにしてもリックはいくらなんでも壮大すぎる感じww
 実は卒業研究のテーマにこのオーウェルの小説を取り上げるのですが、このテーマにした理由は「『1984』は多くの文学や評論だけでなく音楽としても取り上げられており、特にプログレッシブロックに代表されるミュージシャンによって云々」という一文を卒研の中に無理やりもぐりこませたいだけだったり。こんな不純な動機で卒研が書けちゃうのも文系だけ!
 まぁ私はまだマシなほうで、同じ研究室の人のテーマは「久○田康○作品に見る現代社会の闇」とか・・・。どんな卒研になるのか興味津々です。

■コメント

■Re: ふっかつ [原子真一]

どうもーコメント遅くなってもうてすみませぬ。
前回の絵に比べ構図など完成度が高まっていて良いですね。タイトルを指差して目的をはっきりさせたりどこを見せたいのかが分かりやすくなっていますね。ガルベロスさんはどんどん上手くなっていきますねぇ。(おぉ何という上から目線、何様なの?ばかなの?)

お、ネムルバカ購入されましたか。ガルベロスさんの勤勉さにはいつも頭が下がります、ハイ。
>駄サイクル
これ本当に耳が痛くなりますよね・・鋭い所を付かれる感じで
私も基本的にガルベロスさんと同じ考えです。自分がうまく説明できない事を上手い事いうてる(^o^)
自分としてはぬるま湯、いわゆる馴れ合いの中で楽しむ事それと同時に評価、批評されるを事を自らしていく事、でそれを糧として成長していけたらなーと思ってます。後他の人からみたらどうなのかなーとか、なかな難しいですけどね。

ほう小説を卒論とはなかなか面白いですね。
私は小説も音楽も聴いてませんが取り上げられるって事は魅力があるという事でしょうか。

■Re: ふっかつ [ガルベロス]

いえいえ、もう見てもらった上コメントまでもらえて感謝しきりですよ!

もう自分ががんばったところ全部指摘してもらえて本当にうれしいです!さすがうまい人は細かいところまで気がついてくれるんですねTT
うまくなっているというか、普段からちゃんと練習せず伸ばしてないからこんなにも変わってしまうんですよねwwさらに精進いたします。

ネムルバカ、やっぱりここらへんが話しのキモですね。
自分の感じたことをうまく説明するのは本当に難しいのですが伝わってくれたようで安心しました。この記事書くのに数時間かけた甲斐があった(遅ッ!
他の人の意見も聞いてみたいですねー。

『1984年』はちょうど村上春樹の『IQ84』で今話題になっているらしいので、もし興味があれば・・・といいたいところですが、正直おもしろさやためになるという本ではないので、近未来小説や情報社会に興味があるという人以外はあまり読んでもおもしろくないかもですw音楽のほうは知らなくても全然聞けますが、いかんせんどれもマイナーなので入手も困難だったりw
でも私としては読んだり研究するといった価値は十分にあると思います。はたしてうまくそれをまとめられるかどうかは今後にかかっているわけですが、プログレッシャーとしてがんばりたいと思います!?
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プロフィール



name:ガルベロス

比那名居天子とプログレッシブロックとMTGが主食。

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