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柔らか機械

 2年ほど前、「やわらか戦車」なるものが流行ったときがありましたが、私はその名前を見てすぐに連想されたのがやわらか機械、すなわちイギリスのバンド「Soff Machine」です(おそらく両者には関連性はないでしょうが)。

 ソフトマシーンといえばジョジョにもスタンドとして登場します。荒木先生がスタンド名や地名に音楽に関連付けた名前をつけるのは有名な話で、以前紹介したKing Crimsonもそうですね。もっともこのバンドの名前もオリジナルというわけではなく、アメリカの小説家ウィリアム・S・バロウズの作品からのインスパイヤだとか。バンドの2枚目のアルバムジャケットにはその小説に登場するような女性型アンドロイドが描かれています。しかし音楽や文学、はてまたマンガという間においても、元ネタから名づけるという行為はずっと昔から行われているものなんでしょうね。名前は基本「なんでもあり」ですから、自由研究で小学生が困るがごとく、なにかしらの元ネタが必要だというのはうなづけますがw



 で、今回はそのソフトマシーンの3つ目のアルバム「Third」(まんまだなぁw)からMoon in Juneという曲を紹介します。

Soft Machine-Moon In June 1969-Complete Part 1 of 2


Soft Machine-Moon In June 1969-Complete Part 2 of 2


 演奏者はキーボードのマイク・ラトリッジ、ベースのヒュー・ホッパー、そしてドラムスのロバート・ワイアットです。このアルバム発表時は8人体制でしたが、前作のメンバーでもあったこの3人がこのアルバムでもやはり中心だったのでしょう。キーボード、ベース、ドラムスというギターのない編成は、同時期ならばEmerson,Lake & Pamerなどが連想されますが趣向としてはまったく別のものです。

 この曲はドラムスのロバート・ワイアットが多重録音を繰り返して作ったといわれています。前作からバンドのジャズ志向が高まり、バンドではワイアットの最後のボーカル曲となります。世界一悲しい声を持つ男と形容されるワイアットの声は聴いたとおりです。彼は後に事故で下半身不随となってドラマーとしての生命が絶たれますが、ボーカリストとしてソロ活動を行うなど不遇にも負けず活躍しています。

 ワイアットのボーカルも好きですが、曲の後半から始まるラトリッジのキーボードソロも圧巻です。ファズを聞かせたオルガンでの暴れっぷりは、オリジナルアルバムでは聴かせてくれないライブならではのものです。途中サングラスをはずす様がかっこいいw

 ライブ版でも十分長いこの曲ですが、アルバムオリジナルではなんと20分ほどもあります。ラトリッジのソロが終わった後、キーボードかヴァイオリンかによるなぞのふよふよした現代音楽風の音がずっと鳴り続けます。このアルバム、実はLP2枚組みで各面に20分の曲を一曲づつ、計4曲というすさまじい構成になっています。もっとも曲だと認識できる部分とそうでなさそうな部分が区別できて、4曲目などは最初と終わりの数分間はたぶん20分に届かなかった分をむりやりそれっぽい音をつなげたのではなかいと個人的には考えていますwライブ版ではこの部分演奏していませんでしたしね。昔冬にこのCDを昔再生していてオーディオが寒さのためか故障し、ある箇所で延々ループするということが起こりましたが、その部分がその現代音楽風な音の部分であったため、ループしていたことに気づかず、いつ終わるのかなぁと延々聴いていたことがありますw

 と個人的には蛇足にも聞こえる部分はありますが、それでもこの4曲すべて大好きですし、カンタベリーを代表する名盤だと思います。このアルバム以降は完全にジャズにいってしまいますが、1stと2ndはThirdにつながる流れを汲んでおり、これらのアルバムも是非聴いておくべきです。

 はっきりいってソフトマシーンはかなり難解な音楽です。ポップとは正反対の音楽のように思えますが、ワイアットのボーカルはポップな面もまだありますし、遊び心のある音や歌詞は初めて聴く人でも十分楽しめます。洋楽や非ポップな音楽を聴いたことがないという人でも、たまにはこういう音楽に触れてみるのもいかがでしょうか。

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比那名居天子とプログレッシブロックとMTGが主食。

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